蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

ふたりは、私達のことを
やっぱり知っていた


瞬に頼まれて
コンビニに私の様子を見に来たらしい



「瞬が紅ちゃんと付き合うっていう時も
私達は反対したの、ごめんね‥
お互いに苦しい想いすることが
あると思ったから‥
それで私の友達を紹介したんだけど
瞬、紅ちゃんを選んだの」



「付き合ってからも紅かわいすぎるとか
惚気けてたし
順調そうだったから
まぁ、よかったのかな…って
オレ達も喜んでたけど
紅のこと好きすぎて自分が抑えきれないって…
紅のこと大事にしたいって…
夏前に転勤断ってたけど
やっぱ行くわって
この前、オレに相談してきた
相談ていっても、
アイツいつもオレの言うこと聞かないから」


私はティッシュで目を押さえて
ふたりの話を聞いていた



「好きになるだけ好きにさせて
急に転勤て、無責任すぎるって
オレ言ったんだけどさ
しばらく離れたら
お互い少し気持ちが落ち着くとか言ってた」



「好きな気持ち落ち着かせることないと思うけど
瞬、紅ちゃんのこと大切にしたいって
紅が高校卒業するまで手出さない
とか言ってたけど
近くにいたら無理だって
それで転勤選んだんだって
だから、紅ちゃんが卒業するまで
距離をとるのかも…」


亮さんと茜さんの前でも
涙が、止められなかった



「紅ちゃん、ごめんね…
哀しませて
でも、瞬、紅ちゃんのこと大好きだよ
すごい愛してる」

茜さんがそう言って、私を抱きしめてくれた



「私が、私が、
好きじゃなくなったって言ったら
瞬、帰ってきてくれる?」

泣きながら、ふたりに聞いた



そんなこと、無理なのはわかってたのに‥



転勤したばかりなのに戻ってくることも

瞬のこと嫌いになることも

それを瞬に伝えることも



全部、無理に決まってる…



< 110 / 318 >

この作品をシェア

pagetop