蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

「もしもし…」

思い切って出た



「…紅?」

瞬の声がして、胸が痛くなった



「うん…」



「ごめん、なかなか電話できなくて…」



「うん…大丈夫…」

私は涙声にならないように話した



「…元気?」



「うん…元気、だよ…
瞬、は?」



「…なんとか生きてる‥
やっと慣れてきた
アパートが5階で
今エレベーターが壊れてて大変なんだ」


私は黙って瞬の話を聞いていた


アパートの話
仕事の話
私には触れないような話を瞬は選んでしてた



久々に聞いた瞬の声

やっぱり、好き…



「紅は?
最近、なんかあった?」

瞬に急に言われて、答えを探した



「んー、学校もバイトも変わりないよ…」


多く言葉を続けると涙が出そうで
これが精一杯だった



「そっか…
また、電話しても、いい?」



「…うん」



「紅…」



「…ん?…」



「紅…おやすみ‥
また…」



「…うん‥おやすみ…」


私がそう言うと電話は切れた



ツーツーツー…

私はずっとその音を聞いていた



もぉ、流れる涙を抑えることも
私は疲れていた



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