蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

➖瞬➖


紅に会いたくて取った休みも
必要なくなった…

かと言って、こっちにいても何もない



仕事が終わって
オレは飛行機に乗った



紅と別れた今
転勤した意味もなくて
もし、あんな形で転勤してなかったら
紅とも幸せでいれたのかな…


紅を泣かすこともなかったのかな…




地元に着いて
電車に乗り換えた時
なんとなく紅の姿を探した

いたとしても…どーする?



紅がいつも乗っていた車両


紅がいた…


久しぶりに見る紅は、やっぱりかわいくて
でも、酷く痩せた感じがした



隣に同じ学校の制服を着た男子がいた


紅、ホントに好きな人できたんだ…

嘘じゃなかったんだ



それなら‥



納得しようとしたけど複雑な気持ちになった



電車を降りると紅はひとりだった


今日話しかけたら

また…
紅を哀しませるかもしれない



でも今日話しかけなかったら

もぉ…
紅に会えないかもしれない



「紅」


久々に呼んだ名前



振り返った紅は
一瞬泣きそうな顔をした



気のせいかも知れないけど


でも心配で
オレは紅を食事に誘った



それは言い訳で
オレは紅と少しだけでも一緒にいたいと思った



なんとなく
自分達の話には触れなかった


さっき一緒に電車に乗っていたヤツのことも
気になったけど、聞けなかった



紅が間違って持っていたノート

ノートの中を見て
オレはもぉ必要ないな…
そんなふうに思えるくらい
しっかりしたいいヤツ
そう感じた



紅が前に進めてるなら…

いいよ



紅、頑張れ…



…バイバイ

紅のかわいい声がこだました



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