蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

次の日も藤本くんと図書館に行った



「今日、なんか上の空だね…」

数学を教えてもらっている時
藤本くんに言われた



「あ、うん…、そうかな?」



「ちょっと、休憩しよ」



ロビーに出て
藤本くんがココアを買ってくれた


温かいココア…瞬を思い出した



藤本くんに卒業後の進路を聞かれた


藤本くんは、やりたいことがあるから
そのために行きたい大学があると言った



私は…

私は、何になりたいとか、何がやりたいとか、
あまり考えてなかった


まだ1年生だし…



ふと、瞬の言葉を思い出した


どんな理由でも
やりたいこと…好きなことを…


なんだろう…

私のやりたいこと



「好きな人と一緒にいたい…」

咄嗟にそんなことを言ってしまった



藤本くんは、少し笑った


「結婚?てこと?
まぁ、それもひとつの夢だね…

それって、いつも心の中にいる人と?」

そう聞かれて、私はハッとした



「ごめん、変なこと言って…」

私は慌てて、そう返した



「別に、変なことなんかじゃないよ
好きな人と一緒にいたいって
オレも思うもん…

テストあけに返事もらう約束してたけど
オレ、佐藤と、このままがいいな…
いつもオレの隣で笑っててほしい
それだけでいい‥
だから、、、返事はいらない
オレから言ったのに、
勝手なこと言ってごめん…」



「え…」



「友達として、これからもよろしく」



心の中にいる人…

藤本くんは気付いてた



「結婚するなら
お弁当ちゃんと食べた方がいいと思うよ
お菓子だけじゃ
元気な赤ちゃん産めないでしょ」



藤本くんは、いつも優しい

私の事をよく見ててくれて

心配してくれて…



「ありがとう
これからも、よろしくお願いします」


私が笑うと藤本くんも笑顔を返してくれた



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