蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

「ソレ、まだ持っててくれたんだ…」

私が握りしめてるキーホルダーを見て
先生が言った



先生もポケットから
鍵の付いた同じキーホルダーを出して見せた



「紅、ごめん…

今更だけど、オレ、
本当に紅にひどいことした…

謝っても謝りきれないし
許してもらえるとも思ってない

せめて一生会わない方がいいのかな‥って
いつも、ここで見かけても声掛けなかった

この公園に来ると、いつも紅の姿があって
なんとなく、紅の姿確認すると安心して
元気でよかった…って

なんか、今日は、ちゃんと謝りたくて…
声掛けた

…いや、たぶん、本当は、
紅の声、聞きたかった…

元気だった?
っていう質問もおかしいよな‥
オレが、紅のこと元気じゃなくさせたのに…

本当に、ごめん…」



私は首を横に振った



「…先生も私から距離を取ったけど‥
私だよ…本当に距離を取ったのは…

だから、謝らないでほしい…

最初に、戻っただけだよ

全部、夢みたいだった

大好きな人と両想いになれた
ほんの少しの間だったけど
嬉しかったし、楽しかったよ

…ホントに、ありがと、先生…」



薄暗くなった空に星が出た


きっと、明日もいい天気…



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