蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

「亮さんと茜さん、幸せそうだった…」

私は、しみじみ言った



「…うん」

先生も深く頷いた



友達が結婚すると
先生も結婚したくなったりしないのかな?


そういう意味でも私は
先生の恋愛対象にならないのかも…


まだまだ学生だし…


私が卒業するまでに
先生、誰かと結婚するかもしれない




「紅、聞いてる?」

横から先生の声がした



「…え?ごめんなさい‥聞いてなかった」



「紅の玉子焼き、おいしかったよ」



「あ、ありがとう」

私は、なんだか照れくさかった



「毎日、お弁当作ってるんだ、私」

照れ隠しにそんなことまで言ってしまった



「へーすごいじゃん…
紅ちゃん、いつでもお嫁に行けるね」

先生が茜さんの真似をした



「もぉ〜先生、からかわないでよ!」


先生の肩を叩こうとした私の手を
先生がつかんだ



久しぶりに、触れた…



一瞬、時が止まったけど…



パッて
先生が私の手を離して



また、時が進んだ…



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