蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…
➖瞬➖
紅の手料理を初めて食べた
亮たちがいて
なんか照れくさかった
あいつら、いちいちオレの反応見てくるから
優しい味だった
オレの好きな味
褒めたら
紅、嬉しそうにしてた
亮のアパートに紅を誘ったのは
紅に会いたかったから
ふたりっきりだと会う理由もないし
また自分の気持ちが抑えられなくなる気がして…
帰り道
紅に冗談を言ったら
紅がオレを叩こうとした
オレは、その手をつかんだ
細くて、相変わらず、冷たかった
ドキッとして
オレはすぐに離した
紅、高校卒業したら結婚したいって
言ってたな…
紅には、今好きな人がいるのか…
もしかしたら
あの時、電車で見かけたクラスメイトと
付き合ってるのかもしれない…
ずっと気になっていたけど
聞けずにいる
もし付き合ってたとしても
オレには関係ない、か…
弁当を毎日作っているのも
彼のためかもしれない…
前に会った時よりも
紅、元気になったし…
綺麗になった…
出逢った時よりも
ずっと大人になってる…
それから
紅にとってオレは…
瞬から先生に戻っていた
月日がオレとのことを忘れさせてくれてるなら
それでいい…
そんなのは
きれいごとだけど…
紅は、どんな人と結婚するんだろう
きっとダンナさん喜ぶな…
オレがそう言うと紅の笑顔が曇った
褒めたつもりなのに
気のせいかな…