蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

次の日
私が作ったお弁当を
藤本くんと屋上で食べた



「唐揚げ、うまい!」

藤本くんは、いつも褒めてくれる



「よかった…」



「佐藤、食べないの?
…また、なんかあった?」

お弁当を食べながら藤本くんが聞いてきた



「…別に、何もないよ…」



「ウソ…わかりやすいもん…」



私は黙ってしまった…



「…ごめん、余計なこと言って」



藤本くんに謝られて私は首を横に振った



「…なんかね‥
お弁当毎日作ってなんになるんだろ‥
って思うことがあった…」



「…え…ごめん!
オレが作れって言ったから
作ってたわけだし…」



「それは、感謝してるよ
唐揚げも玉子焼きも作れるようになったし!
ありがと…」



「…じゃあ…結婚?できなくなった?とか?」



「…たぶん、
最初からそんなの無理だったのかも…

…将来の夢って‥かわるよね?
…進路って変えても‥いいよね?」



少し泣きそうになった



「………
…その夢、叶えられるのは、
佐藤の、心の中の人だけでしょ…

その人、オレは会ったことないけど
きっと、佐藤は、大好きなんでしょ
…オレは、いつも敵わないって思ってるけど

でも
今日、弁当作る時、誰のこと考えて作った?」



「…藤本くん」



「だろ!
きっと、オレの弁当作ってる時は
オレのこと考えて作ってくれてると思って
いつも食べてる…
それ以外の時は、
きっと心の中の人のこと考えてるだろうから…
オレは、それだけで、嬉しい…
ほんの少しの時間でも
オレのこと考えてくれてる時間がある

将来の夢、諦めるなら
オレと付き合って…
いつでもオレは、待ってるから
…オレは、まだ経済力ないから
卒業してすぐ結婚はムリだけど…」


藤本くんは真剣に言った直後


「まあ…変わらないと思うけどね…
ごちそうさま!今日もうまかった!」


苦笑いして、お弁当を片付けた



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