蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

通りにあった販売機で先生が足を止めた


ガタン…



「ハイ」

温かいココアが渡された



「それでいい?
違うのがいい?」



「ありがと…」


私がお礼を言うと
先生は頷いて自分のホットコーヒーを買った



…違うのがいい?



先生、私ね…
先生の手で温めてほしかった


先生と手が繋ぎたい…



温かいココアを握って
私は心の中の人に言った


伝わらないのに…



きっと
先生もさっきすれ違ったふたりを見たはず


だから
先生の手の代わりに温かいココアを買ってくれた



ココアの甘さとは裏腹に
優しさって、苦しい時もあるね

…先生…




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