蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

「冬休み何してる?
一緒に映画行かない?
無理なら断ってくれていいから」

藤本くんに誘われた


断わる理由もなかった


藤本くんは部活があって
夕方から塾があると言うので
ヒマな私が時間を合わせることにした



「そしたら…塾がない日は…
冬休み初日の24になるんだけど
…なんか、クリスマスだね…」

藤本くんは、悪そうに言った



クリスマス…
特に私は関係ないな…



「私は別にいいよ」



「じゃ、その日で‥
観たいのある?」

藤本くんがスマホを開いてふたりで見た



「んー、あ、私コレ観たい!」



「オレもそれがいいと思った!
オレ、この子、好きなんだ‥」

藤本くんは
その映画に出ている女優さんのことを言った



「私も好き
かわいいもんね」



「うん、なんか雰囲気が佐藤に似てる」



「ウソ、似てないよ!」



「雰囲気が…
顔は、佐藤の方がかわいい」


そう言って藤本くんはスマホから私に目を移した



目が合って
ドキッとした…



「もぉ!からかわないでよ」


私は恥ずかしくなって
藤本くんから目を逸して笑った


藤本くんも一緒に笑った



「よかった…
…佐藤が笑ってくれると、嬉しい」



また最近
藤本くんに押されている気がする


かわいい…とか
待ってる…とか
諦めるなら付き合って…とか


映画の誘いもそうだけど…



藤本くん

私はきっと
応えることができないよ…



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