蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

「時間があったら夕飯も一緒に食べたい」


藤本くんに言われてお店を探したけど
オシャレなお店はどこもクリスマスで
いっぱいだった



よく行くファーストフード店は
わりと空いてた


「なんか、学校帰りと変わんなくて
クリスマス感ないね」

藤本くんがハンバーガーを食べながら言った



「うん…
…でも、今日誘ってくれて、ありがと…」



「断ってくれてもよかったのに…
…いいの?…好きな人と会わなくて?」



好きな人…



先生、今日は何してるんだろう…

私は、それさえも知らない



私は黙って頷いた



「…辛くないの?」


辛くないって言ったら嘘だけど

勝手に待ってるのは、私だから…



私も藤本くんに同じことしてる

待ってるって言われてるのに…



「藤本くんは?
…辛くないの?」


私は藤本くんの質問に答えずに
逆に質問した



「私、藤本くんに同じことしてる…
待ってるって言ってくれてるのに
応えられない…」



「んー、そっか…

佐藤と、もぉ喋れなくなるなら
このままの方が、辛くないかな‥
この関係が悪い方に変わるのは
ヤダな…」



「私もね、同じ気持ち…
好きな人と
関係が途切れるなら今のままでいいのかな‥

藤本くん、ごめん、なさい…」



「謝んないでよ
…なんか、虚しくなる
…佐藤も好きな人に謝られたら
虚しくない?」



ごめん…
何度も先生に言われた


思い出すと胸が痛くなる



「…うん
…どーしたらいいか、
自分でも、わかんなくなる…」



「…佐藤、笑って
笑ってて…
オレは、それだけでいいから…」



藤本くんが掌を私に向けた

大きい手



「ハイタッチ!」



藤本くんの掌に私の掌を合わせると
藤本くんの手が私の手を包んだ



「今日、ありがとう
好きな人と
一緒にいれて、嬉しかった…

ちょっと‥言いたくないけど
佐藤も好きな人と会えるといいね」


手からも言葉からも
藤本くんの優しさが伝わってきた



いつもありがとう

藤本くんは
心の温かい人だね



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