蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

先生が玄関から私の靴を持ってきた


「ホントにオレって
してることが中学生」

そう言って先生が部屋に入ってきた



「寒くない?」

先生がエアコンを付けた



「姉ちゃん達だった
みんないないなら先に神社行ってくるって
また出かけた」


先生は私と少し離れた場所に座った



「…紅、あのさ
びっくりするかもしれないけど
泣かないで、聞いて」


先生の声のトーンが急に真剣になった



また泣いちゃうことなのかな?


私は、緊張した



「紅の気持ち、素直に話してくれて
ありがと…
…なんか、嬉しかった

子供の頃から見てきた紅が
考え方とか、ちゃんと大人になってて
こんなオレのために泣いてるって思うと
切なくなった…

それなのに
まだオレのこと好きでいてくれて‥

待っててくれて‥
ありがとう…

ずっと一緒にいたい…

紅…オレのために玉子焼き作ってくれる?」



玉子焼き?


紅ちゃん、いつでもお嫁に行けるね

きっと、ダンナさん喜ぶな



え…

私はタオルを握りしめた



「それって…」



「うん…プロポーズっていうの?

紅…
オレと結婚してください

オレ、それぐらい
紅が好き…」



幸せそうな茜さんたちが脳裏に浮かんだ

私も茜さんみたいになれるの?



夢とか言ってたのに
その夢が今叶うのに

私は信じられなかった



「ごめん…高校生なのに、実感わかないよな…

今すぐってわけじゃないけど…
紅が結婚してもいいって思える日まで
オレ、ずっと待ってるから
紅が、待っててくれたみたいに…

もし紅に好きな人ができたら
その時は、オレから去って行ってもいい…
何も責めない
オレ、紅に、それくらい酷いことしてるから

もし子供ができたら
ふたりで育てよう
それくらい真剣に紅のこと愛してる

重いかもしれないけど
毎日、紅のこと、想ってた…

紅…大切にするから…

いつか、結婚しよう」



私は
タオルで顔を隠して頷いた



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