蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…
「お昼、なんか作って‥
紅の料理食べたい」
瞬に言われた
フライパン、鍋は
茜さんが残していってくれた
私は冷蔵庫の中を覗いた
さすがに生物は入ってなかった
トマト缶、ツナ缶、乾麺があったから
私はパスタを作ることにした
「なんか手伝う?」
瞬が言った
「緊張するから、座って待ってて」
私はお湯を沸かしながら言った
パスタソースを作っていると
「いい匂いしてきた」
瞬が後ろに来た
「この皿でいいかな?」
瞬が皿とフォークを出してくれた
「瞬て、転勤してる時
ご飯どーしてたの?」
パスタの固さを確かめながら
瞬に聞いた
「…作ってくれてた人がいた…
って言ったら?」
「‥え?」
私は意味がわからなかった
「毎日作ってくれてた女性がいたとしたら?
って、こと」
私はムッとしてしまった
だって私は
あんなに辛かったのに!
瞬にそんな女性がいたなんて…
「…ウソ
そんな人いるわけないじゃん!」
瞬がすぐに訂正した
「もぉ…」
「ごめん、ホンキにした?」
後ろから瞬が抱きついてきた
ドキドキした
「向こうにいても
ずっと、紅のこと考えてた…」
耳元で瞬が言った
さっきはムッとしたけど
その一言で許してしまう…
「毎日、コンビニ弁当食べてた
オレ、パスタ大盛り〜
…じゃ、食べよっか‥」
そう言って瞬はパスタをテーブルに運んだ