蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

電車に乗って

しばらく歩いて

日が落ち始めて



ついた場所は…

瞬と一緒に来たことがある場所だった



瞬と夜景を見た場所

瞬がいなくなるって言った場所



私は、なんとなく口数が少なくなった



「ごめん…気分悪くなった?

あの時は、嘘ついてごめん‥
近いとか、
簡単に帰ってこれるようなこと言ったよね
オレ」



あの時のことは
思い出したくない


数時間前まで、すごく楽しかったのに…


なんの前触れもなかったのに…



「うん…
…でも、帰ってきてくれたから
もぉ、いい…」



冬の空は
星が近く感じた


風が冷たくなってきて鼻先がツンとした



「紅、待っててくれて、ありがと…
辛い想いさせて、ごめん…

結婚したら幸せにする
ずっとそばにいて…」



瞬がポケットから指輪を出して
私の左の薬指にはめた


この間、一緒に選んでくれた指輪


指輪が涙で滲んだ



「ありがと…」



あの日も夜景が涙で滲んでた



嫌な想い出のこの場所が

もぉ二度と来たくないと思ったこの場所が



記念の場所になった




ーーーーー



冬空の下
私達はキスをした



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