蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

瞬の仕事が早く終わりそうな日
アパートで勉強した


藤本くんも部活の帰りにアパートに寄った



受験間近まで
土日は家庭教師はやらない約束


藤本くんも部活があったし
紅とふたりでいたい…って
瞬が決めた



「オレも仕事忙しいと見れないし
まだ受験まで期間があるから
週に1、2回くらいかな…
部活引退したら、もう少し増やそう」



「忙しいのに、スミマセン」



「志望校どの辺?」


瞬が藤本くんと私に聞いた



「え…私も?」



「じゃあ、オマエなんでここにいるの?」



…瞬に、会いたいから…

心の中でそう言った



藤本くんは志望校をいくつかあげていた



「紅、ちゃんと考えといて!」


瞬に叱られた



「佐藤、夢あるじゃん!」

藤本くんが小声で言った


私は耳が熱くなった



私達のやり取りを瞬が見てた

また、瞬に勘違いされる…



「私、高校卒業したら…
…瞬と、結婚する!」


慌てて言ってしまった


藤本くんが私達ふたりの顔を見た



「…じゃあ、オマエ、勉強のジャマしないで
向こう行ってて…」

瞬が言った


きっと照れ隠し


私も恥ずかしかった



藤本くんが教科書で顔を隠しながら
私の方を見た


笑ってた



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