蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

改札を出ると
私より先に先生が言った


「明日、バイト終わったら会える?」


予期しない言葉にビックリして立ち止まった


「予定あるなら、他の日でもいいけど」


予定なんか、なかった



「だって先生、あの人と会うんでしょ」



「後で断わる…」



なんで?


私が口を開く前に先生は次の言葉を言った


「紅に会いたい」


え、聞き違いかな?


「…」


黙ってる私に先生が言った

「オマエさっき言ったじゃん
好きじゃなきゃ、
会える?なんて言わないって」



???
先生、私のことが好きってこと?


聞き違い?勘違い?
だったら恥ずかしすぎる



「オマエのこと、好きだって言ってんの!」


駅の階段だった



一瞬、時が止まって
私の前に照れくさそうな先生がいた



私の気持ちは声にならなかった



「明日、バイト終わったら
迎えに行っていい?」


先生にそう言われて頷くことしかできなかった



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