逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
午後からはやはり忙しくなって、バタバタと仕事をこなす。
締め日が近いとあちこちから細かな仕事が持ち込まれる。

二時間近く残業になってしまった。

自分のとこの課長はまだ残業していて、帰宅前に声をかけられる。
「悪いんだけど、帰りがけにこの書類海外事業部の係長に届けてくれる?
まだ残ってるみたいだったから。」

「分かりました。お渡しすればいいんですね。」


帰り支度をして、海外事業部へ。
総務のフロアより上階にある部署なのであまりくることはない。
社内でも花形部署だ。
仕事が出来る人の集まりなんだろうな。

仕事をしている人はチラホラ。
残っている人は忙しそうだ。
係長さんを探して、書類をお渡しする。忙しいみたいで電話対応中だが、
一時中断してペコリと頭を下げてくれた。
「ありがとうございます。助かります。
で、すみませんが隣の部署の電話ずっとなり続けてるんですけど、
代わりに出て要件だけ聞いといてもらえませんか。
こっちの電話話しずらくって。」

そう言って、また電話を再開し出した。
電話音がうるさいのだろう。
失礼しますと頭を下げ、隣の部署の電話をとる。
私がとってはたして分かる内容なのだろうか。

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