逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「そうですか…。」

もう忘れたいのに、またそのことを話題にして心を抉る。

「でも、誤解だ。料亭での女性も、この前の女性も誓って男女の仲はない。昔も今も。
一番好きな人は芽衣だ。」

「そう…。だったらなんで…。いつも悩んでばかり…。見っともなくて、気持ち振り回されて、もう苦しい。そんな思いするなら、いらない、こんな気持ち。」

「もう一度チャンスをくれない?」

「チャンス?私は気持ちをぶつけたし、信じようと思ってる。
でも、いつもいつもタイミングよくというか、悪くというか間が悪く遭遇するなんて、ウンザリなの。もう、恋なんていらない。
時期が来たら、親が見染めた人とお見合いして結婚した方が幸せになれると思う。
そう思わせてるのは蓮さんよ。」

「投げやりにならないで。
オレが君の恋の夢を壊したなら挽回するから、絶対後悔させない。
他の誰かになんて譲る気ないから!。」

「ありがとう。誰もが憧れる桐生課長にここまで言わせて。
でも、もう、どれが本当のあなたか分からない。
きっと、私達はご縁がなかったんだよ。
でも、あなたと一緒に働かせてもらって、沢山考えさせてもらった。

この二週間、色んな人に接して、自分のやりたいことをしようって思ってる。
しばらく日本を離れて過ごしたい。」

「まさか、あの外国人と一緒にいるつもりじゃ…。」
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