逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
うんうんと俯いた。
ちゃんと自分の口で言わなきゃ。不安にさせられたのは事実だけど、話合いに応じず、逃げるように旅立った。

でも、なんて言えばいいのか、
色んな感情にふりまわされて、苦しかった、悲しかった、
でも二人で過ごす時間は順風で居心地がよくて、楽しかった…。
このデートで最後のつもりで会ったけど、このまま終わりに出来るの?
次の出会いに期待して、彼にも新しい出会いがあって誰だか知らない人が隣に寄り添って…。
そんな想像して寂しくなった。
彼は手離さないと言ってくれたのに、自分から手を離そうとしていた。
あー、私ってめんどくさい。

「芽衣?」
彼が不安そうに声をかける。

考えていると、我慢していた涙腺は崩壊し次から次へと頬を伝う。
「嫌なの。蓮さんが他の人に笑ってるかもとか、他の人が好きかもとか…。
私はあなたの好きが欲しいの…。
私は…、私は蓮さんが好き…、好きなの…。たぶん、好き…。」

頬を伝う涙を、スッと親指で撫でてくれた。

「なんだよ、たぶんって…。
そういうのヤキモチって言うんだよ。

オレもどれだけ焼かされたか…。

芽衣…、おかえり。」

そう言って、隣で両手を大きく広げた。

「ただいま…。」
そうして、素直に胸の中におさまった。
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