逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
自分の生きる道
あの一件から十日後ある人が訪ねてきた。

彼と噂になったモデルだ。

弁護士を通してコンタクトを取って、本社会議室で兄同席で対面した。

キレイな人だった。

突然失礼します。とは言ったが名前はよく覚えてはいない。
ずいぶん勝手な言い分を並べ、
彼が好きだから解放してとか、私がそばにいるから安心をとか、彼も私を愛しているとか。

並ぶ言葉にウンザリでほんとどうでもよくなった。


凍りついていた心が熱く弾けたのは

週刊誌が尾行していたのを利用して彼との関係を公にした。と。
ああ、前から関係があったのか…。ほんと、バカらしい。


けど、これだけは言いたい。

「分かりました。
でも、こんな陳腐なやり方であなたは柾木コーポレーションの信用を落としてるのよ。
愛してる彼の社会的信用だってそう。

我が社と表面上は何もないようにビジネスライクでも、人と人が仕事をしているの。
少なくとも、我が社は柾木コーポレーションへ不信感を持つわ。
あなたがしめしめと思ってやったやり方一つで会社の株価や信用が簡単に崩れることだってある。
そして、社員やその他関係会社に危機をもたらすこともあるの。
本当に彼を愛してるというなら、二度とこんな間違ったやり方はしないで。」
< 176 / 213 >

この作品をシェア

pagetop