逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
なんだかんだであっという間にこちらへ来て一年半が経とうとしていた。
プロジェクトも軌道にのって、私の仕事もそろそろ収束する頃だ。
兄からも、そろそろ帰国してきたらどうかと打診されている。
九条の娘としての役割は多岐にわたる。
一プロジェクトに関わるよりも、財界との交流に九条の人間として仕事をすること。
私にしか出来ないことだから。
仕事は日本で席を置き続けたら良いと。
家族の役にも経つし、自分の仕事も出来る。
そろそろ帰国しようか。


蓮さんとの関係はこちらへ来て半年後、アメリカ出張のついでにニューヨークへ立ち寄ってくれた。
ほんの数時間、ランチを食べる時間しかなかったけれど、お互いによく働き励ましあった。

ニューヨークに来たころは毎日のようにメールだ電話だとやり取りがあったけど、
半年が経ち、一年が経ちと私も彼も仕事が忙しくなるにつれて、3日、5日、1週間間隔が空くようになった。当然といえば当然で、それぞれに生活がある。
仲がいいわけでも悪いわけでもない。
最近では、2週間に一回程になっていた。
だんだん、こちらから連絡することが躊躇われ、専ら蓮さん待ち。
どうしたいんだろう。
蓮さんにはいい人が出来たのかもしれない。
時々連絡が来るのは友人としての義務みたいな。


もうすぐ28の誕生日を迎える。
少しは大人になったのかしら。

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