逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
それから数日後、久々凛子から連絡があり、ドバイに行ってきたからお土産を買ってきたとか。
いつもの会員制のレストランで待ち合わせをしていた。
凛子が遅れるなんて珍しいので心配になった。

電話をかけられるスペースがあるのでそこへ行き、何度か連絡する。
やっと繋がったら、体調が悪いようだ。
旅行帰りで疲れが出たのかもしれない。
「ほんと呼び出しておいてゴメンね。また連絡するね。」

「気にしないで。ゆっくり休んでね。ちゃんとお医者様に診てもらうんだよ。」


大丈夫だろうか。変な病気に感染してないといいけど。


電話を切り席へ戻ろうとすると、背後から声をかけられた。

「また、会ったね。」

振り返るとそこにはイケメン課長の桐生さん。
ゲッ。
たしかに、パーティーでお会いした私は知っているはずだ。
会社の平野芽衣ではなく、九条家の九条芽衣としては認識されているはずだ。

九条芽衣として失礼のないように挨拶する。

「こんばんは。パーティーでお会いした方ですよね。先日はありがとうございました。」

無難な挨拶をして、この場を去らなければ。

「二度目なんだけど。ここでこの前スマホ落とされたでしょ?あの時が初めまして。
そのリアクションじゃ、パーティーで会った時の二度目ましては気づいてないか…。」

ウソっ。あの時のスマホ拾ってくれた人だったの。


< 20 / 213 >

この作品をシェア

pagetop