逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
両親から強要されていたわけでもないのに、勝手に思い込んで、勝手に突っ張っていたよくある話。
学校からも母は良く呼び出されていた。
自分でも、何かにイラつき、何をしたいのかもわからない日々。

ある日、夜遅くに帰宅すると、両親はパーティーに出席していて、妹は熱を出して寝込んでいると。
使用人が世話をしてくれていたが、辛そうでかわいそうだというので、部屋へ様子を見に行った。

9歳の妹はベッドに寝ていて苦しそうに息をしていた。
おでこに手を当てると無意識にぎゅっと手を握りしめてきた。
それから、なんとなく側に付いていたら側で寝てしまって朝だった。
目が覚めてると、妹はすでに起きていて笑っていた。機嫌がいいので熱が下がったのか。

「お兄ちゃん、ありがとう。一緒にいてくれて。」

年の離れた妹の芽衣はうれしそうに言うので、日頃ツッパってる俺はどう対応すればいいのかよく
わからない。もっと小さいころは良く可愛がって遊んでいたが、最近は顔を合わせることが少なかったからだ。

「大丈夫か?痛いところは?食べたいものは?」

「大丈夫…。甘いもの食べたい。」

何かないかと探して部屋に置いておいたコンビニで買ったお菓子。
その中に懐かしくて買ったこんぺいとうがあった。
これなら食べれるかと芽衣の部屋へ戻り

「これ、砂糖菓子。甘いよ。」

「わーかわいい。これなあに?」

「こんぺいとうっていう砂糖で作ったお菓子。」

こんぺいとうも知らないのかと驚いたが、嬉しそうに甘いと言って笑顔を見せた。
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