逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
ホッとした俺は、使用人に芽衣の食事を頼み様子を見ていた。
久しぶりに顔を合わせた妹。
大きくなったが両親が不在の時も多く、病気の時は不安だったろう。
自分が小さい時を思い出した。

「お母様いないのによくがんばったな。俺しかいなくてついてないな。」
兄らしいことを言ってみる。

「どうして?お兄ちゃんが芽衣のお世話して、こんぺいとうくれたから芽衣うれしいよ。
熱が出て良かったかも。
お父様もお母様もお兄ちゃんの話でいつも盛り上がるの。
ライオンみたいな頭で、ライオンみたいに強いらしいぞって。
そしたらお父様が俺の若い時のようだ。って。
お母様は親子良く似てるって。
最近は家にあまりいないけど、きっと優しくしてくれるから芽衣もお兄ちゃんに会ったら
お腹すいたって言ってごらんって。ライオンみたいにすぐに食べ物を探してくれるわよって。」

「なんだよ、ライオンって。」

「髪の毛が黄色いから! でも、ちゃんとおやつくれたね。」

「芽衣の好きなお菓子は何? 今度また買ってきてやるよ。」

「芽衣もお菓子買いに行ってみたいなあ。おやつはいつも用意してあるから…。」

「そっか、買い物したことないのかもな。元気になったら連れていってやるよ。」

「うん!約束ね!」

それから、少しずつ芽衣と出かけたり、相手してやることも増えたし、尖っていた気持ちも落ち着き
両親の思いが分かるようになると生活が落ち着いた。
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