逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「えっと、気が付きませんですみませんでした。」

「いえいえ、でもこれでも結構女性には気にかけてもらえるんだけどね。
君には通用しないみたいだ。残念。」

なんかいたたまれない。
どうしろっていうのよ。
女性ならだれでも僕に興味を持つのに君は持たないんだねって嫌味だろうか。
九条のお嬢様として警戒心が。

「えー、失礼しました?でしょうか。」

「くくく、なんで疑問形?。そんな興味持てない?。そこがいいんだけど。」

もうなんか、馬鹿にされてるみたいでこの場を立ち去りたい。

なのに、

「連れの人こないんでしょ?ご飯付き合ってよ。
俺も一人なんだ。一人の食事って味気無いじゃない。
この前のお返しに付き合ってよ。」

この人何言ってんだろう。
ナンパされてるんだろうか。
だれが性格もいい神様のような課長さんよ。
どう見ても策士だ。

この感じなら、地味な総務部の平野さんとは気づかないだろう。
いつもの九条芽衣で大丈夫そうだ。
むしろ、お嬢キャラ振り向いておけば絶対に気づくまい。
この誘いに乗ることにした。



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