逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
今日は凛子がアメリカへ戻る日だ。
仕事で見送りには行けないけど昼休みにテレビ電話で少しだけ話しをした。
ライアンさんにもお礼を言われた。
次会うのはベビーも一緒だね。

午後から今日もプロジェクトの助っ人へ。
海外事業部のところのデスクを借りて、資料をまとめたり、ファイリングしたり。

課長も村上さんも二人で外出している間に、自分の仕事をする。
総務の仕事のように慣例マニュアルに沿った仕事と違い、自分で考えながら分かりやすく、見やすいようになども取り入れると結構時間がかかるが提出してOKだとやりがいがある。
時には修正もあるけど、的確に指摘してくれるし働きやすい。

所々フランス語の書類も多く、それを日本語に纏めるのは重宝してもらえた。
履歴書に英語の資格やレベルは記入していたけど、フランス語の資格なんて持っていないので
レベルも書くほどではないと申告していなかったなあ。
変に履歴書が目立つのを避けたいと言うのもあった。

よくよく考えると履歴書ウソばかりだな。
そう思うと、働く仲間を騙している罪悪感が。
はー、いつまで偽名使うんだろう。
漠然と考えてしまっていた。
いけない、集中、集中。



夕方しばらくして二人が戻ってきた。
おつかれのようだ。
私もひと段落つけたいと、三人分のお茶を入れた。
給湯室のお茶だけど。
チョコレート持って来てたな。
お裾分けしよう。

兄が出張土産で甘いものをいつも山のように持ってくる。
一人暮らしでさすがに食べれきれないので、先輩たちに休憩時お裾分けすることがある。
緑茶にホワイトチョコ。好きな組み合わせ。

「ありがとう。美味しいな、緑茶。」

「ホントだ、チョコと絶妙で美味しい。」

「ありがとうございます。給湯室のお茶ですけどね。」

少しホッとして気を休めてもらえるなら良かった。

今日の分の書類を提出して、定時も過ぎたので退社した。
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