逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「き…、蓮さん」

思わず桐生課長と呼びそうになる。ヤバかった。

「偶然ですね。着物姿なので人違いかと思ってましたけどやっぱりあなただった。
お出かけですか?」

「ええ、まあ。蓮さんはお仕事ですか?」

いつもよりさらに上質そうなスーツを着ていた。
着こなしているからさすがイケメン。妙なオーラがあるよね。

「ええ、今終わったところで。これから何か予定は?」

「予定というか、デパートにちょっと買い物でもしようかなくらいです。」

「そうですか。その後良かったら食事に行きませんか?美味しいお店があるんです。」


はあ、という曖昧な私をあっという間に懐柔して、現在、一緒に食事をしている。

オシャレなイタリアンレストランだった。
素材を生かした見た目も味も美味しい。

「いかがですか?お口に合いますか?」

相当おいしいです。

「はい、とっても美味しいです。」

「気に入ってもらえたらよかった。ここは何年か前に仕事で関わってたお店なんですよ。
芽衣さんはいつも美味しそうに食事をするから、嬉しいですね。褒めてもらえて。」

とびきりの爽やか笑顔だ。こんな顔もするんだ。仕事の時と雰囲気が違うので落ち着かない。
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