逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「どれも美味しいよ。料理するんだね。」

「一応。料理教室も大学時代行ってましたから。
材料はいいはずでよ。実家の母のお薦め食材が定期便で届くので。」

「お世辞抜きで美味しかったよ。普段は外食やコンビニが多いから。
このコーヒーも美味しい。」

「この豆は好きなコーヒー屋さんで焙煎してもらったもので、
私のお気に入りです。」


こんなに喜んでもらえるなら作って良かった。


この人はやはり神様なのか。
日に透ける髪がキラキラしていて、園内ですれ違う人は横目に見ていく。
ほんと、キレイ。
かと思えば、結構無邪気なところもあって、まだ20代だったな。

職場の上司でなければ良かったなと思う。
騙しているようで、と言うか、騙しているのか。
はあ。
きっと、最初で最後のデート。
楽しんで明日からまた仕事がんばろう。


見学を再開して、今日一の動物を言い合いっこした。

「せーので言おう。」

「「手長ざる」」

2人揃った。なんかうれしい。
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