逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「やっぱりあの手長ザルは面白かったよね。」

「うん。動きといい、求愛行動といい、面白かったです。今日一。」

そんな話をしながら退場ゲートへ向かう。

ちょっと待っててと言って、戻ってくると。
ハイって差し出した紙袋。

中には
「手長ザル、いや〜かわいい。」

「でしょう?オレも買ってみました。今日の記念に。」
課長の家にも置くのかこの手長ザルを。ちょっと、笑える。

「ありがとう。うれしい。」

不細工な茶色い手長ザルのぬいぐるみだ。ニヤニヤしてしまう。

「こっちこそ、お弁当もありがとう。
やっぱり、こっちの方が芽衣ちゃんって感じでいいや。」
と、頭を撫でられた。

急に子供っぽくされて恥ずかしくなる。

芽衣さんより芽衣ちゃん。
妹的存在だと認識した。


それからも予約していたレストランで夕食をいただき、タクシーに乗せられお別れした。
今日は手を繋いで、抱き寄せられ、頭ナデナデされて。

ほんと、私をどうしたいのだろう。複雑な気持ちになっていた。
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