逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
謎の女登場
週が明けて通常勤務が始まった。

今日は総務の仕事だけで、海外事業部での業務はない。

昼休みに総務のメンバーでランチを取れば、

「桐生課長の下で働くってどうなの?緊張する?」

と質問。

「はじめは慣れるまで緊張というか分からないことばかりでしたが、的確に指示を下さるので
やりやすいですよ。」

「飲み会とかないの?デートのチャンスは?」

ぶっ。飲んでたうどん出汁を吹き出しそうになる。
すでにデートしましたとはとても言えない。

「ありません。それにほとんど一人で作業してるので、接点は業務引き継ぎの時くらいですし。
それに後2ヶ月程度でプロジェクト終了なので。」

ほんと早くプロジェクト終わらせて安心して会社生活を送りたい。






そして、昼休みも終わり頃、兄から連絡が入った。
また、急用かな。こっそり話せる場所へ移動。

「芽衣、久しぶり。仕事は上手くやってるか?」

「まあ。お兄ちゃんも仕事頑張ってるの?
出張忙しいんじゃない?マンションぜんぜん帰宅してないでしょう?」

「ああ、時々寝に帰るくらいだな。
ところで、うちの会社で働く気は無いか?
秘書課で語学堪能で浮ついて無い人材を探してるんだが。
ちょうど、芽衣が適任かと思って。

いい加減、どっちつかずの性格で振舞うことに歪みが出ると思う。
正直、きついんじゃないか。同僚にも本音で向き合えないのは。
仕事がしたいならそれでいい、でも芽衣は芽衣らしく生きて欲しい。
これから異性との出会いもあるだろう。
見合いだってするかもしれない。
嘘ついて生活する意味をよく考えてみろ。三年もやってるのはつらいだろう。」

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