逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
そろそろ潮時かな。

あれで九条ってバレてなかったら、かなり鈍感だわ、桐生さん。

お兄ちゃんにも今回借りができたし、プロジェクトも軌道に乗ったし、
退職して秘書室入るかな。



あれから、キス目撃以降何度かあったメールや電話、全無視。

蓮さんとのご縁はなかったことになるでしょう。
まあ、始まってもいないけど。
あっけなく片思いに気づいた頃にはthe end。


そして、職場では、私は同僚から好奇な目を向けられた。

何であんなにフランス語できるのに総務で事務?
何で色んな情報仕入れられるの?
もしかしてスパイ?

噂話が広がって、あることないこと流れてる。
おかげで食堂でご飯が食べられない。
コンビニでサンドとコーヒーを買って一人屋上でボーとしに来た。
「お腹減ったなあ」

呟いた時だった。

後ろから、
「九条さん」と声がかかった。

思わず、
「はい。」と返事してしまい…。しまったと思ったら、遅かった…。

そこにいたのは、もちろん桐生課長だった。
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