逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
ニヤリと笑う桐生課長。

やられた。

「平野さんが九条芽衣さんだったとはね。
まんまと騙されたよ。
こんなでっかいメガネかけてたら、見抜けないわ。
こんな顔隠して、可愛い顔がもったいない。」
と皮肉を言う。

「あー、バレちゃいましたね。
プロジェクトの間だけなら上手く逃げ切れると思ったのに。
いつ気づきました?」

「決定的なのは今回の件。でも、その前に疑ってた。
芽衣ちゃんに急にメールも電話も無視されて、同時に平野さんもよそよそしいから。
そのあと、自販機で飲み物を買ってる時。
ボタンを押す時、手首のホクロを見つけたから。芽衣ちゃんと手を繋いだとき同じ位置にホクロが
あった。その時すれ違がったら、芽衣ちゃんと同じ香水の匂いがした。」

「はー、わかりやすくてすみません。それはバレるわ。
ほんと、黙っていてごめんなさい。」

「今回の一件は芽衣ちゃんに助けられた。
あと一歩遅かったら、莫大な損害だっただろう。
どこ情報だったの?」

「兄です。
九条コンツェルンの副社長をしています。」

「そうか、流石だね。お兄様にもお礼を言わなきゃね。
でも、もう一つ謎だ。
それで何でオレは無視されたんだい?いい感じのデート出来たと思ったのに。
オレはこっ酷く振られたって事か?あんなに口説いてたのに。」

ギョッとした。
お怒りでいらしゃる?
< 50 / 213 >

この作品をシェア

pagetop