逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「分かりやすいね。
会社のこと気にしてた?
オレのヒミツを共有してから悩んでくれるかな。
くれぐれも彼女やーめたなんてのは無しだからな。」

「仕方ないですね。私のヒミツ共有してくれたので、桐生課長のヒミツも守ります。」

ハイっと見せてくれたのは運転免許証。
写真があって、名前が?
桐生 蓮じゃなく、
柾木 蓮となっている。

柾木ってまさか柾木コーポレーション?。

「分かった?本名、柾木 蓮です。桐生は母方の姓。
柾木家の次男坊なんだな、オレ。
ビックリした?」

クビを縦にうんうんと振る。

「柾木家の次男って。私と同じ作戦で身バレしない様にしてたってこと?」

「そういうこと。これは我が家の方針。あちこちの会社や部署を経験させるの。
一部の上層部しか俺のことは知らない。
まあ、パーティーなんかは本名で出席することが多いけど。
もう何年かな。偽名使って仕事してるの。
ちなみに、本社では取締役専務。」
私より、ウソツキだ。

「食事した時言ってくれたら良かったのに。九条のお嬢さんって知ってたんでしょう。
柾木のお坊ちゃんが一緒にいても不思議ではないのに。」

「俺自身を見てもらいたかったから。でも芽衣は桐生課長ってのは知ってたんだよな?
そっちの方がタチ悪い。」

お互い顔を見合わせて笑った。



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