逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
お互いの近況を報告しあって他愛もない事を昔みたいに楽しむ。


そうこうすると、電話の着信が。
話題のライアンさんだ。
私にかけてくるってことはあちこち探してるに違いない。

凛子に着信を見せると嫌そうな顔をして出たらダメっていうけど、
無視できないでしょう、出るからね!って言って通話できる場所へ移動した。
凛子はダメって言ってたけど、ホントは迎えに来て欲しいはず。

いつまでも続く着信をとる。彼とは英語だ。
『ライアンさん、お久しぶりです。
ええ、凛子今私と一緒です。
事情は知らないけど、凄く寂しそう。
ちゃんと話しあってね。
電話何度も諦めずかけてあげて。きっと出るから。

はい。早く仲直りして下さい。』

ふー。言うことは伝えた。
あとはふたりがどうするかだ。


席へ戻ろうとすると男性とすれ違った。
持っているスマホが彼の手にぶつかり、思わず落としてしまう。

「おっと、すみません。大丈夫ですか?」

絨毯の上だったから音もせず無傷だ。拾って差し出してくれた。
背が高い、落ち着いた声の男性だった。

「いえ、私こそすみません。大丈夫です。ありがとうございます。」

と言って、受け取る。そのまま席に戻った。
< 6 / 213 >

この作品をシェア

pagetop