逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
彼女のこと ー蓮sideー
フランスから帰国して彼女と食事を共にしたことで、彼女へ近づきたい思いが日に日に増した。

偶然の出会いを期待し、足繁く通うレストラン。

半ば強引に取り付けたデート。
あの頃彼女と行ってみたかった、かわいいデートスポット。
無茶苦茶な誘い方に興味を持ったのか、応じてくれたデート。
約束の前の日は楽しみでしょうがなかった。
30前の男がデートで浮ついていて、自笑した。

約束の時間になっても現れない彼女。昨日の約束は冗談だったのか?
すっぽかされたのかもと、いまだかつて振られたこともないオレは気が沈む。
自分で言うのもなんだがそれなりにモテる人生を歩んでいるとおもう。
デートに現れないなんて経験がないのでどうしたものか。
彼女の性格からして、出来ない約束はしない誠実な子だ。
何かあったのかも。
連絡先は今日聞けばいいかと思っていたので、昨日聞かなかったことを後悔した。
しばらく待っていると、ここは待ち合わせスポット。次々に周りの人々は待ち人が現れ消えていく。
一組のカップルの会話で、西口と東口を間違えたと言う会話。
もしや。
オレは東口へ走っていった。
ひときわ、華やかな雰囲気の女性、間違いなく彼女だ。
哀しそうな顔で佇む姿に、急いでで近づき腕を掴んだ。

見つかった良かった。
彼女も連絡先が分からず困っていたのだろう。
待っている間、オレの安否を心配してくれていた。
泣きそうな顔で俯く彼女にたまらなくなって思わず抱き寄せていた。

仕切り直しとばかりに動物園デートへ行き、彼女と見学。
彼女の視点や考察は面白く、一緒にいて心地いい。
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