逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
仕事の悪い情報が何故かサポートの平野さんから。
言ってる内容に思わずムッとしたが、言っているのが最もで早急に事態の情報収集にあたる。
怪しい雲行きに本社も急ぎ動き、社長はじめ社内秘書課が走り回る。
なかなか情報が集まらず業を煮やした頃、
平野さんが知り合いへ聞いてみると言い出したので止むを得ず許可した。
目の前で問い合わせる先はフランス語だ。
一体どこに。

しかも、普段翻訳を頼む方が多かったのでまともに聞いた事はなかった。

電話口から流れる流暢なフランス語。相手は気心の知れた人物のようだ。
電話口の相手を聞いてさらに驚いた。

一体何者なんだ。もしかして…。

周辺にいた部員も言葉は分からずとも、オレへの助言など普段の事務員の姿とは
思えない凛とした態度。
只者じゃない。
漠然と感じた、あれこれと尋ねたい事はあるのに、なんとなく態度がよそよそしく
取り付く島がない。

翌日、ようやく合点が…。

自販機でお茶を買う時に確証した。
九条芽衣だ。

平野さんも芽衣。なんでこんな単純な変装に気づかなかったんだ。

そうなったら、グイグイ責めるしかないと実行に移した。
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