逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
初めて入る彼女の部屋。
ドキドキしている余裕がないほど、芽衣をどうにかしなければと焦る。

部屋は真っ暗で、寝室のベッドの小さな灯りが、見えた。

「ちゃんと食べたの?顔色が悪い。」

「いい。今回の件、蓮さんごめんなさい。
ちょっと、今無理で、横になりたいので帰ってもらえますか?」

「いやだ。ずっといる。久しぶりに会えたんだ。
辛い時こそ半分こだ。」


うん。と言って、ソファで座っていたら、うつらうつらし始めて、様子がおかしい。
熱があるようだ。
ベッドへ連れて行き横にした。
ベッドの上に無造作に放置される、手長ザルのぬいぐるみ。
これを抱いて寝てたのか?
オレを恋しいと思ってくれたのなら嬉しいな。

かわいいな。

ちょっと苦しそうな顔だけど、さっきからスーツの裾を握ったままだ。
頭を撫でてあげると、寝息をスースーたて寝たようだ。


会う前までのイラつきは消えていた。
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