逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「そろそろ行くか。」

「ええ。」

もう一度、景色を目に焼き付けた。
この景色きっと忘れないだろうな。

「でも、その前に。」

急に手を引かれ、見つめる視線は甘やかで熱い。頰に手を添えると唇に触れるキス。
呼吸も忘れて受け入れているから、ああ蓮さんの術中に引っかかってるなあと自覚した。
どんどん深くなる行為が何度も何度も続き、彼に対する思いが膨らんでいく。

「かわいい。早くオレに落ちて。」そう囁く仕草が色っぽい。

意識を持ち直した私は、彼の腕を引いて恥ずかしさを誤魔化した。
すでに落ちているよ…。

ロープウェイで下山する間、落ち着かず、ドキドキした。
その様を見透かす様に、ニッコリ微笑む蓮さん。敵わない。

それから車に戻り、遅めのランチ。
イタリアンに行き、色んな物を注文して取り分けて食べた。
実家では料理人が食事をいつも作ってくれるので、大家族のような取り分けて食事をいただくのは
楽しい。
蓮さんがたくさん食べてと、取り分けてくれる様が優雅でほんと隙がない。

この人が彼氏で、自分が彼女というポジションでいいのかなと思える。
ルックスだけでなく、仕事の能力も、人格も優れていて。
家柄も申し分ない。
これだけ女性の扱いも手馴れているなら、今までも色んな人とお付き合いしてきただろうし。
自分の恋愛経験なんて幼稚園児の恋のようなもの。
格好だけでみるなら、私も恋愛上手な女に見えるかもしれない。
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