逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~

「うん、大丈夫。久しぶりだね。お着物だから行きやすいところだと限られるけど。」

「食事まで、どこか行きたいところある？」

「うーん。美術展が今週までのがあって。それは行きたいかも。
小さな美術館だから、一時間程で見れそうだし。
その後、食事で時間にもいいかなって。あっ、興味ないかな？ 西洋美術なんだけど…。」

「いいよ、行こう。西洋美術もも和の文化に刺激貰えるし。
芽衣となら、面白いだろうから。
食事、和食なら落ち着いた料亭か、ホテルのレストランどっち？」

「和食かな。誰か誘う？凛子は居ないし、みちるは新婚だしなあ。
ねえ、誰かいる？」

「いないな。急に誘っても忙しいだろう。二人で問題ある？」

「いや、ないけど…。」

一応、幼友達といっても、男性二人はどうかと蓮さんにあとでメールしておこう。

着物を運転手に預けて、今日は帰ってもらった。
二人で美術館へ向かう。
歩いて10分くらいだ。

久しぶりゆっくり話しをしながら歩き、美術館を観覧した。
この辺りなら着物姿の男女くらいよく見る光景だが、視線を感じるのは若い女性からだ。
千歳、いい男に成長したなあ。
小学生のころはよく泣いていたのに。

黙々と美術館を二人で鑑賞し、予約してくれたという料亭へ着いたのが19時だった。
到着直前に、蓮さんへ連絡していないことを思い出して、メールをしておいた。
幼友達の千歳とご飯食べてきますと。

あとでもっと早くに連絡しておけば良かったと後悔することになる。