懐妊初夜~一途な社長は求愛の手を緩めない~
「子どもが欲しいです!」はなかなかないかもしれないけれど、「ひと晩でいいから抱いてください!」とかなら普通にありそう。
もちろん私にそんな場面は見せないし、相手は選んでいるに違いない。あとでこじれないように、割り切りのできる女性をきちんと見極めているに違いない。
そういう分別がしっかりできるタイプの人だから。
(じゃあ……いいのかな)
私は彼から後腐れなさそうだと認められて、相手をしてもいい女と判断してもらえたんだろうか。それなら甘えてしまってもいいの? 妊娠できるかどうかは運だけど、この機に乗じてもいい?
社長はきっと上手にやってくれる。私はただ身を任せていれば、ずっと夢見ていた我が子に出会えるかもしれない!
それに、社長と過ごす夜をちょっと期待してしまう自分もいる。
(名久井社長とひと晩過ごす、かぁ……)
私にとって、本当のご褒美かもしれない。
「……あ。今日って……」
奇しくも今日は俗にいう危険日というやつで。
なんか……条件が整いすぎていて。
(私……本当に名久井社長の子どもを産むのかも)
そんな気がした。