「立花さん、好きです」
立花さん
「蒼井ぃ、ほんとに立花さんのこと好きなの?」
訝しげに先輩を見上げると
「いや、なんかさぁ、
こう言うのも悪いかもだけど、性格きつくね?
もっと可愛い子居るじゃん。
桃園さんとか。めっちゃ可愛いし。」
「…別に他人の好みとか知らないですけど
本人の前でそれ言ったら、俺本気でキレるんで。」
そう言うと、おお、怖。と呟いた先輩は
休憩室から出ていく。
バイト先の5歳上の立花さんは
真面目で厳しい。
そんな印象なんだろう。
俺と同い年の優しくてほんわかしてる桃園さんは
他のバイト仲間や先輩にモテるみたいだ。
確かに笑顔で話してても楽しい。
それでも、立花さんの不意に見せる表情とか
不器用な言葉とか、ちょっと天然な行動とか
何もかも全部が愛おしくて。
分からない人には分かって貰わなくて良い。
寧ろ俺以外
立花さんの素敵なところを
知らなければ良いのに。
そう思ってしまうほどに好きで。
こんなに好きなのに、
それでも、立花さんは
本気にしてくれない。