見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
(あ…)


声を上げる間も無く、さっと腕を取られた。
そのまま歩き去っていく足に合わせ、私は軽くダッシュした。



「悪い!今夜は神野を渡せないっ!」


振り返った彼がそう言うと、後方で嵐のような叫び声が沸き起こった。

「ええ〜っ!?」と叫ぶ驚嘆の声を耳にしながら、連れられるままに足を速めた。




はぁはぁ…と息を弾ませながら、何処まで連れて行かれるんだろう…と前を走る人の背中を見遣る。

腕をずっと握ったまま走り続ける彼は、徐々にスピードを緩め、歩くような歩調になってから私の方へ振り返った。



「……悪い。何も考えないで走ってた」


足は大丈夫か?…と急に紳士らしく訊いてくるが、こっちは唖然としてしまい、直ぐには返事が出てこない。



「神野」


名前を呼ばれ、ハッと我に戻り、慌てて「平気です!」と返事する。
それを聞くと彼は安心したように笑みを浮かべ、照れたように言い訳した。


「また邪魔者が入るんじゃないかと思って、かなり焦ってた。正月休みのように、言いたいことも言わずに終わってしまうのはご免だから」


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