見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
いつ頃それに気づいたのかは謎だけれど、「さっきもそうだった」とボウリング場での挨拶を引き合いに出し、「大胆な役目を引き受ける割には繊細だよな」…と声に出して笑う。



「あの…」


どうしてそんな癖を知っている?…とキョトンとしてしまう。だけど、声にはできず呆然となった。



「ずっと見てきたんだ。それくらい察するよ」


届いたグラスワインを持ち上げた彼がそう呟き、先ずは乾杯をしよう…と傾けてくる。
私は彼が呟いた言葉に動揺を隠せず、「お疲れ」と言う声に慌てて、グラスを持ち上げて鳴らした。


「あっ!今夜は飲みすぎてベロンベロンになるなよ」


余計な一言を発する相手に、またしても呆然。
副社長はどうにも一言多い…と思いながらもワインを口に含み、ゴクンと飲み込んでグラスを置いた。


こうやって二人で打ち上げできるなんて夢みたいだ。
ずっと彼と話をするんだ…と思い続けてきたけれど、こんな形は全く予想もしておらず、言葉が空回ってなかなか出ない。



「あの……えーと」


何か話さないといけない。けれど、共通の話題もないから声が詰まった。


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