見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「さっき」

「えっ」


目線を向けると彼は口籠るように唇を引き締め、目線を俯けて悩むような顔をしてみせる。
私と同じように、彼も共通の話題を探ろうと考え込んだのか…と思っていたが。


「あいつと何を話してたんだ?」

「え?…あいつ?」


急に誰…と頭の中で自問。
しかし、さっき話した相手といえば彼しかおらず、「高吉君とですか?」…と副社長に確認した。



「そうだ」


何となく不機嫌そうに頷く彼。
機嫌が悪くなるなら訊かなければいいのに…と思いつつも、会話の内容を教えた。


「ボウリングに参加してくれたお礼を言ってたんです。それと、勘違いさせるような態度をとってごめん…と謝りました。次から接し方を変えるから…と言ったら、『自分の方こそ、余計な心配かけて申し訳ありません』と謝られて…」


謝られることなんて何もないのに…と思うと、少し気持ちが塞がってくる。

メンタルケア担当としては、相手の気持ちを開くことが大切で、気持ちを萎ませて落ち込ませるなんてことは、してはいけないのに……。



「そんな顔をするな」


厳しい声を発した彼は、ワインを口にすると一口飲み込んでから続けた。

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