見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
だから、あの時の副社長には何も言えなかった。
皆の信頼を裏切るような行為は出来ない…と、心の何処かで感じていた。


(だったら、今の状況も仕方ないじゃない)


落ち込みながら、張りきる同僚達を見つめる。

私が副社長と上手くいっていると思う皆には、想像以上に距離が空き、どうやって縮めようか…と悩んでいる気持ちなど分からないだろう。


私には、皆のように相談できる相手もいない。
そうやって考えると、本当に自分は孤独な福利厚生担当者なんだな…と痛感する。


しみじみ副社長が言っていた言葉が思い出される。

彼は、私の他にメンタル相談を受ける窓口があればいい…と言い、一人では大変そうだ…と気遣ってくれた。


彼のように、私のことを思ってくれる人なんて、これまで一人もいない。
自分の悩みや愚痴を聞かせる人はいても、私の話を聞いてくれる人なんて、いなかった。


今更ながら、副社長の存在が大切だと気づいた。
自分にとってのメンタルケアは、彼以外にはない…と実感した。



(今更だけど…)


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