見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜＊おまけ終了＊

就業後、自分の部屋へ彼を招き、チョコレートを手渡した。
ラッピングも諦めて、ただ箱に詰めていただけのビターチョコだったけれど。


「すみません。不恰好で」


バットに流したチョコレートを四角に切り、ビターなココアパウダーを振っただけ。
でも、千之さんは喜んでそれを摘み、「美味い」と心から褒めてくれる。



「琴音も味わえよ」


指で摘んだものを唇に咥え、直接口移しで味を確認させようとするからたじろぐ。

でも、強引な感じで後ろ頭を抑える彼に唇を開かされ、舌と一緒に入ってくるビターなチョコレートを味わった。


一人で味見した時とは違い、チョコは甘くてほんのりと苦い。
一緒に食べるとこうも味が変わるものなのだろうか…と驚きながらモグモグと噛みしめた。


一欠片食べ終わると沈黙が流れる。
甘い雰囲気にも変わりそうな気配に、ごくっ…と喉を鳴らした。



「あの…千之さん」


ワンクッション置きたい…と思い、彼の名前を呼ぶ。
満面の笑みでこっちを見つめる彼を視界に入れ、きゅん…と胸の奥が狭まった。