見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
黙ったままの彼と面して、二人とも黙り込む。
私としては、その先の言葉が聞きたい。
けれど、話す気になれないのなら、今は無理に聞き出しては駄目だ……。



「あの…」


ようやくいい雰囲気に戻ったのだから、それをまた覆すようなら言わなくてもいい。
いつでも彼が言える気になったら、その時に伺います…と声を発しようとした。


「琴音」


思い切ったように彼が名前を呼ぶから息が止まった。
返事をしようにも声が出ず、瞬きもしないで彼を見遣った。


「俺は……そうやって懸命に働く琴音に、こういうことを言うのは気が引けていたんだ。
上司として、それを言うのはいけないと思い、ずっと堪えてきた。
いつか必ず、琴音の後任になれる人材が社内で見つかる。それまで要らないことは言わず、君に任せておくつもりだった。
……でも、もう限界だ。俺は琴音にこの仕事から降りて欲しい。俺の為だけに働いて欲しい。視界に入れるのも、俺だけであって欲しい……!
あーもう、どうしてこんなことを言ってるんだろうな。
こういうことを言うつもりはなかったんだけど、琴音を目の前にすると、独占欲しか湧いてこない」


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