見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「ところで、二人で一体何を話してたんだ」


急にシビアな声で本題に入る彼に、願望がさっと吹き飛ばされた。


「あの、それはですね」


就業前に私は、高吉君のことを少し訊ねた。

聞いた限りでは、彼は学生時代に硬式野球部のマネージャーをしていて、選手の体調や精神的なケアなど、細かい部分についての観察を任されてきたらしい。

それと言うのも、高吉君自身は喘息気味で、野球がしたくても体力的には無理だったから、それならそういう面で、選手の役に立ってみてはどうか…と顧問の先生に勧められたそうだ。


彼は私に、「野球を数字で分析するのも面白かったけど、そういう対人(たいひと)の方が自分には興味があって。つい人の顔色とか様子とか、窺ってしまう癖が身に付いてるようなんです」…と言っていた。


自分が丈夫じゃないから、人のことが何となく分かる。
無理をしてはいけないと言われても、やっぱり頑張りたくなる気持ちも十分過ぎるほど理解している…と言っていた。


< 224 / 325 >

この作品をシェア

pagetop