見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
私はそんな彼にまだいろいろと言いたいことが残っていた。
けれど、それを聞きたくないからこそ、彼は「早く寝ろ」と言っているような気もした。


「…おやすみ…なさい…」


ぐっと言葉を飲み込み、歯を磨いてテントの中へ入っていく。
そこに並んだ寝袋の一つに潜り込み、ぎゅっと頭の上まで引っ張り上げて涙をこぼした。


彼は私のことを許してくれているのだろうか。
それも分からずに、迷ったまま瞼を伏せて息を忍ばせる。

明日、もう一度彼に謝ろうと決意する。
自分に自信がなくて、それでそんなふうに思ってしまっただけだ…と弁解だけはしよう。


聞いてもらえるかな…と落ち込みながら瞼を伏せると、あっという間に睡魔に負け、いつの間にか眠り込んでいた。


春先の山の温度は寒いと思って覚悟していたけれど、床に敷いたアルミシートと毛布のお陰か、それ程寒さも感じず、むしろ心地いい温度に熟睡して、想像以上に深く眠り込んでいた__。



< 260 / 325 >

この作品をシェア

pagetop