見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
千之さんが、彼を思って人事部長に進言をしてくれたことは、間違いではなかったんだ…と瞬間的に感じた。

もしも、私の言っていた通りの人事になっていたとしたら、今の彼の笑顔は無かったのかもしれない。


やっぱり流石だな…と痛感しながら指輪を撫でる。

これを付けて出勤し始めた頃は社内が騒然とし、慌てた部長が突進してきて、「まさかとは思うけど、急に退職したりはないよね!?」と確かめてきたから可笑しかった。


「いいえ」と笑うと安堵され、その話を千之さんにすると仏頂面で、「周りが『頃合いを見ろ』と喧しいから我慢したんだ」とこぼしていた。



それがなければ、これが婚約指輪になったのかな…と、ついついほくそ笑んでしまう。

けれど、次の瞬間には(ダメダメ!)と気を引き締め、前を向き直して、じっと異動の辞令を聞いていた。



式の後は社内で簡単な懇親会がある。
主に主役は退職者の方達で、私はその世話役としてドリンクを用意したり、注いで回る係を担当させられていた。


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